■ピグミーの隔離を妨げる勢力も

 また、現地ではビロ(Bilo)と呼ばれるバンツー(Bantu)系民族からの反発を恐れる人々もいる。ビロはピグミーを、現代の奴隷のように扱っていることが多い。

 アモレット氏は「初めは、彼ら(ピグミー)は新型ウイルスは白人の病気だと言っていた。その後、病気がやって来たのはビロを罰するためだと言い始めた」と語った。

 隔離状態を奨励されているピグミーだが、ビロの人々はピグミーを保護区に行かせないようにしている。彼らを自分たちの下で働かせ続けようと必死なのだ。

「ビロの人々はバヤカの人々に、われわれがバヤカの人々を森に連れて行って殺そうとしていると話している」とアモレット氏。

 バヤカの一部の人々はすでに保護区に閉じこもっており、新型ウイルスを、遠く離れているが真の脅威だとみなしている。

 白いあごひげを生やしたピグミーのマルク(Marc)さんは、訪問者が握手をするのを断ったことに驚いて、「森の妖精がわれわれを守ってくれる」と冗談を言った。だが今日では、世界共通のあいさつでさえ危険となっているのだ。(c)AFP/Camille LAFFONT