【6月16日 AFP】フランス政府は、警察によるいわゆる「チョークホールド」を禁止する方針を発表していたが、これを一時保留とした。首を圧迫するチョークホールドは、反人種差別を訴える「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」運動の活動家らから広く批判を受けている。

 米国で黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警官に首を膝で圧迫され、「息ができない」と訴えた後に死亡した事件に端を発し、抗議デモが広がったことを受け、仏政府は先週、チョークホールドの禁止を発表していた。

 複数の警察組合がこれに猛抗議。組合側は、チョークホールドは長年用いられてきた手法であり、警察官らの安全を確保するためには必要不可欠だと主張し、警察の職務の危険性を正当に評価していないと政府を批判した。

 AFPは国家警察のトップ、フレデリック・ボー(Frederic Veaux)氏が15日に職員に送った文書を入手。これには「新しい枠組みの明確化を待つ間、状況が必要とすれば、チョークホールドと呼ばれる手法は節度と分別をもって使用が継続される」と書かれている。

 具体的には、逮捕時に抵抗を受けた場合や、警察官や他者が危険にさらされる場合は使用可能だとしている。

 仏各地で怒りの抗議デモを展開していた警察組合は今回の保留措置を歓迎。デモでは、警察官らが手錠を地面に投げ捨て、構造的な人種差別や暴力などないと訴えていた。

 警察組合「シネルジーオフィシエ(Synergie-Officiers)」のパトリス・リベロ(Patrice Ribeiro)組合長は「正しい方向へ向かう第一歩だが、警察の怒りを解消するには十分ではない」と話した。(c)AFP