【6月8日 AFP】廃業を決めていたオーストラリアの通信社AAPは、慈善家主導の投資家グループによる買収が暫定合意に至ったとして、存続されることになった。同社トップが5日、明らかにした。

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 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による経済的な打撃を受けて同社の財政難がさらに深刻さを増す中、今回の買収計画はAAPにとって命綱となる。

 AAPの廃業はこれまで従業員に伝えられているが、同社経営陣は、ニューズコープ(News Corp)のピーター・トナー(Peter Tonagh)元最高経営責任者(CEO)を含む投資家グループが同社の買収に前向きであると発表した。AAPのブルース・ダビッドソン(Bruce Davidson)最高経営責任者(CEO)は、従業員向けのメッセージで「AAPが、影響力を持つ投資家や慈善家らの投資家グループに売却される見通しだと発表できることを非常にうれしく思う」と述べた。

 創立85年の同社は今後、ニュース速報や公益となる記事、スポーツ、写真の配信などを続けるが、さらなる人員削減を行い既存の従業員180人の約半数のみが新たな経営陣の下での雇用を確保される。トナー氏によると、投資家グループは偏見のないかつ信頼できるジャーナリズムというAAPの遺産を継承するため尽力するという。

 同社をめぐっては今年3月、主要株主であるルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏所有の複合メディア企業ニューズ・コーポレーション(News Corp)とメディア企業ナインエンターテインメント(Nine Entertainment)が突如撤退を決め、オーストラリアのメディア業界のさらなる集約に懸念が高まっていた。だがその数週間後、複数の買収提案があり、同社の廃業計画は6月26日まで先延ばしにされていた。(c)AFP