【6月5日 AFP】英王室を離脱したヘンリー王子(Prince Harry)の妻メーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex、38)が、警察の拘束下で死亡した非武装の黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんを追悼する動画メッセージを公開し、自身が体験した人種差別について思いを語った。

 メーガン妃は母親が黒人で、米ロサンゼルスで育った。フロイドさんの死に抗議するデモが全米に広がる中、デモに言及することに不安を覚えていたと認めた上で、「何も言わないことが唯一の間違いだと気付いた」と告白。「ジョージ・フロイドさんの命は大切だった」と述べた。

 このメッセージは3日、メーガン妃がロサンゼルスにある母校の高校の「バーチャル卒業式」に出席した際、卒業生に贈ったもの。

 メッセージの中で同妃は、3月に米ケンタッキー州の自宅で射殺されたブリアンナ・テイラー(Breonna Taylor)さんや、2014年にオハイオ州でおもちゃの銃で遊んでいて射殺された黒人の少年タミル・ライス(Tamir Rice)君(当時12)ら、警察によって命を奪われたアフリカ系米国人の名前を列挙し、「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」運動への支持を表明した。

 また、母校イマキュレート・ハート高校(Immaculate Heart High School)の恩師にかつて告げられた「自分の恐れよりも、他の人々が必要としていることを優先するのを常に忘れないように」との言葉について、「この1週間でかつてないほど考えた」と話した。

 ヘンリー王子夫妻が息子アーチー(Archie)ちゃんと現在暮らすロサンゼルスでも、フロイドさんの死をきっかけとした抗議行動が繰り広げられている。3日に行われたデモでは1万人が市中心部を行進した。

 メーガン妃は、ロサンゼルスについて「ひどい」状況だとコメント。1992年のロサンゼルス暴動を回想し、「外出禁止令が出たのを覚えている。急いで車で帰宅する途中、空から灰が降ってきて、煙の臭いがした。あちこちで建物から煙がもうもうと出ていた」と語った。

 黒人男性ロドニー・キング(Rodney King)さんに「無分別な人種差別による暴行」を加えた警官4人が無罪となったことで起きたこの暴動は、全米に拡大し、59人が死亡した。(c)AFP