【6月5日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の中、米ロサンゼルスのティーンエージャーたちは、高齢者の買い物を代行する「お使い」サービスを通して人生の教訓を学んでいる。

 高校生のミラ・クォン(Mira Kwon)さん(16)は「この経験は本当に素晴らしいものです」と語る。クォンさんは、「ズーマーズ・トゥー・ブーマーズ(Zoomers to Boomers)」という配達サービスでボランティア活動を行っている。新型ウイルスの流行をきっかけにカリフォルニア州で始まったサービスで、現在は米国の10都市以上に広がっている。

 サービスの基本となるアイデアはいたって単純だ。「ベビーブーマー世代(Boomers)」の高齢者や免疫力の低い人々が、ボランティアメンバーに買い物リストを送る。リストを受け取るのは、ビデオ通話サービス「ズーム(Zoom)」を多用することで「ズーマーズ(Zoomers)」とも呼ばれる「Z世代(Generation Z)」。そしてこの10代の若者たちが食料品などを買って、注文主の元へ配達する。

 高校生のクォンさんは、コリアタウン(Koreatown)で立ち上げたロサンゼルス支部で、40人のチームの責任者を務める。メンバーの高校生たちは、パンデミックの影響で学校の授業が突然中断し、オンライン学習を余儀なくされた。

「最初はとてもびくびくしていました……サービスを提案する電話をたくさんの会社にかけなければならなかったから」とクォンさんはいう。多くの企業は配達サービスとの提携を希望しなかったが、いくつかの店舗がクォンさんらの活動に興味を抱いた。

 活動を通してクォンさんが得たものは、助けを必要としている人の役に立っているという充足感だけではない。自信を深め、人々とつながることもできた。

 ベッツィー・バス(Betsy Bass)さんにとって、このボランティアは目を開かされる体験だった。学校の授業では学んだことのない多くのことを教えられたという。「この経験を通じて分かったことの一つは、さまざまな現実の世界の問題です。私はそれを解決したい」

 一部のティーンエージャーは、コロナウイルスによる危機が過ぎ去った後もこのプロジェクトを続けたがっている。バスさんは「パンデミックの真っただ中でなくても、1日3回食事をする余裕のない家庭があるんです」と語った。 (c)AFP/Laurent BANGUET