【6月1日 AFP】イタリア・セリエA、アタランタ(Atalanta)のジャン・ピエロ・ガスペリーニ(Gian Piero Gasperini)監督は31日、3月に欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2019-20)でスペイン1部リーグのバレンシア(Valencia CF)と対戦した際、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の兆候があったため、死を意識したと明かした。

 ガスペリーニ監督は伊スポーツ紙ガゼッタ・デロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)に対し、アタランタが無観客の敵地メスタージャ・スタジアム(Mestalla Stadium)でバレンシアを4-3で下し、2戦合計8-4で準々決勝進出を決めた同10日は体調を崩していたと話した。

「バレンシア戦の前日に体調が悪くなり、試合当日の午後にはさらに悪くなった。ベンチでも顔色が悪かった」

「あれは3月10日だった。それから2日間は(アタランタのトレーニング施設がある)ジンゴニア(Zingonia)でほとんど眠れなかった。熱はなかったが、40度の高熱があるかのような疲労感があった」

「救急車が2分おきに通っていた。近くに病院があったからね。まるで紛争地帯のようだった。夜になると『もしあそこに行けば、私はどうなる?』と思った」

「今はまだ行けない、やるべきことがたくさんある…周囲の心配を和らげるためにも冗談めかしてそう言っていたが、本当にそう思っていた」

 62歳のガスペリーニ監督はまた、熱がなかったため綿棒による新型コロナウイルスの検査は受けなかったが、10日前に行われた血清検査によって、新型コロナウイルス感染症にかかっていたことが分かったと述べた。

 ガスペリーニ監督は「私には抗体があるが、だからといっていま免疫があるとは限らない」と続けた。

 ガスペリーニ監督によれば、バレンシア戦の4日後、数年ぶりにランニングマシンで10キロ走った後、最悪の時期は脱したように感じたものの、その後は味覚を失ったという。

 アタランタのファンで、レストラン格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」で星を獲得したシェフからお祝いの食事とドンペリニヨン(Dom Perignon)の2008年物のシャンパンを贈られたガスペリーニ監督だったが、その味は「水とパン」のようだったと振り返った。(c)AFP