【5月24日 AFP】ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領と閣僚による会議の様子を収めた映像が22日、公開され、非難とともに調査に発展する可能性を招いている。先月22日に行われたこの会議では、ブラジルが新型コロナウイルスの新たな流行地となっている最中にもかかわらず、流行についてほとんど触れられていなかった。

 極右のボルソナロ大統領に対しては、連邦警察庁長官の解任をめぐる司法妨害の疑惑が浮上しており、今回の映像はその調査の一環でセルソ・デ・メロ(Celso de Mello)最高裁判事が公開した。実際、映像の中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について言及されたのは数回しかなく、うち1回は環境相の発言で、政府は感染症流行のどさくさに紛れて同国の環境保護規制を緩和すべきだとする内容だった。

 多くの支持を集めるセルジオ・モロ(Sergio Moro)法務・公安相がこの会議の2日に辞任し、映像の存在が明らかになった。モロ氏はボルソナロ大統領が連邦警察に対して不適切な「政治的干渉」をしていると非難していた。

 報道によると、警察はボルソナロ大統領やその側近が関与した複数事例の捜査を進めているという。同大統領の息子でリオデジャネイロ市議会議員のカルロス(Carlos Bolsonaro)氏も、父親のためにフェイクニュースを使った選挙活動を監督した疑いが持たれている。

 国内メディアは、映像の中で下品で侮辱的な発言や、地位や品格をおとしめるような発言が計39回あり、うち31回がボルソナロ大統領の発言だったと報道。これをめぐっては、ニュース解説者や野党、市民団体など多方面から非難の声が上がった。

 この映像にはボルソナロ大統領を有罪にする「決定的な証拠」はないとされているが、同氏に悪影響を及ぼす可能性はある。同氏は大統領就任から約18か月で支持率の低下に直面している。(c)AFP/Joshua Howat Berger