【5月25日 CNS】中国・吉林省(Jilin)楡樹市(Yushu)で近頃、「特別な肉まん店」が地元市民に歓迎されている。

 この「肉まん店」の店先にあるのはプラスチック製の腰掛け2脚と保温ボックス1箱だけだ。ここで売られている朝食用の食品は、実は幼稚園の先生たちの手作りなのだ。

 記者は19日早朝、業界をまたいだ肉まん店「楡樹市広播局(放送局)幼稚園」を訪問した。そこでは湯艶芳(Tang Yanfang)園長の指揮の下、職員たちが元気よく立ち働いていた。

 同園のコックと先生たち十数人が、忙しそうに小麦粉を練り、餡(あん)を練って、肉まんやマントウ(あんが入っていないまんじゅう)などの麺製品を朝食用に作っていた。

 湯園長は「新型コロナ感染症の影響を受け、幼稚園の資金繰りが一時破綻してしまい、経営を続けるためにやむを得ず業種転換に救いを求めました」と明かし、感染症まん延の頃の話になると、何度もむせび泣いた。

 資金繰りの検討をいくつも行った後、園長は幼稚園の厨房(ちゅうぼう)と園児のための栄養レシピとコックを活用し、先生たちも参戦するなど力を合わせ、朝食用の食品の製造、販売を始めた。

 園長の説明では、肉まんを買うのは朝市に来る市民や防疫対策のため在宅を強いられている幼稚園の職員たちだという。

 おいしくて栄養のある朝食を作るため、この「異業種コック」たちはいくつもの味の肉まんを作り、客に選んでもらっている。多い時には1日で肉まん700個が売れることもあるという。

 記者は幼稚園の人たち十数人が自然に連携をとり、ひと時も休まずにほかほかの熱気あふれる肉まんを作り上げるところを見ることができた。

 湯園長は「当地の政府が園の自力救済の行動に対して大きな支援をしてくれたので、ほぼ順調に営業許可証が取得でき、政府の温かさを感じ、前進し続けるエネルギーとなりました」と語った。

「今後市場のニーズ次第で、朝食の品ぞろえを拡充し、園の『得意のメニュー』を市民の朝の食卓に提供したい」 (c)CNS/JCM/AFPBB News