■ワイルドカード=不確定要素

 最近の世論調査ではまだバイデン氏が全国的にリードしているが、米大統領選は選挙人団の投票によって決まる。つまり、フロリダやウィスコンシンのような一握りの接戦州に結果が左右されやすい。

 そうした州での状況はより拮抗しており、トランプ氏は2016年にヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元国務長官と対戦したときのように、全国レベルの獲得票の総数でバイデン氏を下回っても勝利する可能性がある。

 大統領選の行方は、いくつかある「ワイルドカード」のうち1枚がめくられただけでも結果が変わり得る。

・トランプ氏が予測するように、第3四半期に景気は回復し始めるのか? それによってトランプ氏は再び力強いメッセージを有権者に売り込むことができるか?

・北朝鮮との核兵器をめぐる対決やイランとの衝突など、外交ドラマはあるのか?

・2016年の大統領選で対立と誤情報の種をまいたロシアは、どのような役割を果たすか?

・トランプ氏が私的な時間を費やしてまで、新型ウイルスをもたらしたと攻撃する中国との緊張は、新たに破滅的な貿易戦争の引き金となるのか?

 だが最大のワイルドカードはほぼ間違いなく、トランプ氏自身だろう。土壇場の戦いで、トランプ氏はどこまで行くだろうか?

 すでにトランプ氏は昨年、有罪とはならなかったものの、バイデン氏とウクライナに絡むスキャンダルをかき立てるために大統領職権を乱用したとして議会で弾劾されている。そして現在は「オバマゲート」と呼ぶ新たな陰謀論を持ち出し、オバマ前大統領やバイデン氏が自分を大統領職から追い落とそうとしたと主張している。

 最終的にはすべては一つの単純な問いにかかっていると、アータートン氏はいう。それはこの極端な大統領を崇拝する人が多いのか、それとも嫌う人が多いのかという問いだ。

「トランプ氏が共和党員の投票を引き出せるのと同じくらい、多くの穏健派……無党派層や民主党員に不快感を抱かせ、彼らの投票率が伸びるかどうかだ」 (c)AFP/Michael Mathes and Sebastian Smith