【4月14日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は13日、新型コロナウイルス流行を受けて毎日行っている定例会見で、再選を目指す11月の大統領選へ向けた自らの選挙CMのようなビデオを公開し、ホワイトハウス(White House)担当の報道陣をあぜんとさせた。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による米国の死者はこれまでに2万3200人に上っている。しかしトランプ氏は、自らの政権が被害を大きく食い止めたと強調。さらに自らの対応が「数万人、あるいは数十万人の命を救った」とさえ述べた。

 中でもこの日会見に集まった報道陣を驚かせたのは、自画自賛する一方でメディアを批判するビデオをトランプ氏が公開したことだった。

 ビデオには野党・民主党のアンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)ニューヨーク州知事やギャビン・ニューソム(Gavin Newsom)カリフォルニア州知事がトランプ氏の断固たる行動が功を奏したと賞賛する場面もあった。一方で、1月から2月にかけてトランプ氏が新型ウイルスの脅威を繰り返し過小評価していたことについては、全く触れていなかった。

 長時間にわたる会見の全部、あるいは大半を生中継しようとしていたニュースメディアの中には、ビデオが始まるとすぐに中継を中止したところもあった。このビデオを公開した理由について尋ねられたトランプ氏は「フェイクニュースばかりだからだ」と答えた。

 トランプ氏は長年メディアと敵対しているが、今回のビデオ公開で報道陣とのあつれきは新たな次元に突入しそうだ。

 11月の米大統領選は、民主党大統領候補となることが事実上決まったジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領とトランプ氏の対決となる見込みだが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって両者とも、支持者集会や討論会のような通常の選挙運動ができない状態にある。

 バイデン氏が多くの米国人同様に外出を控え、自宅のスタジオからネット配信で支持者に訴えかけている一方で、トランプ氏はホワイトハウスでの会見を自らの選挙運動に利用している。(c)AFP