【5月22日 AFP】ブラジルの保健省は21日、新型コロナウイルス感染により直近24時間で過去最多の1188人が死亡し、国内の死者数は累計2万47人となったと発表した。

 人口約2億1000万人のブラジルではこのところ感染者数、死者数とも急増しており、南米最大の新型コロナ流行地となっている。感染者数は31万人を超え、米国とロシアに続き世界3位。死者数も、政府統計によれば過去11日間で倍増し、世界で6番目に多い。

 感染拡大のスピードに懸念が高まっているにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症を「軽いインフルエンザ」だと主張する極右のジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は21日、低迷する経済の活性化のためロックダウン(都市封鎖)をやめるよう重ねて呼び掛けた。

 ブラジルでは全27州・連邦区のうちほぼ全てが3月末から独自にロックダウン措置を講じており、市民の間には「ロックダウン疲れ」も見えている。

 感染拡大の影響を最も受けているのは経済と文化の中心地サンパウロ(Sao Paulo)州で、国内の感染者と死者の約4分の1が集中している。感染対策をめぐりボルソナロ氏とたびたび衝突しているジョアン・ドリア(Joao Doria)州知事からは、ブラジルは新型ウイルスと「ボルソナロウイルス」の両方と闘わなくてはならないとの批判も飛び出した。

 サンパウロやリオデジャネイロをはじめ、北部や北東部の複数の州でも、病院が医療崩壊の瀬戸際にある。当局は増床のため臨時の野外病院の設置を急いでいるが、患者数の増加に追い付いていない。(c)AFP/Pascale TROUILLAUD