■「超天才」

 科学的な問題についてのトランプ氏の強固な意見は多岐にわたっている。

 例えばトランプ氏は再生可能エネルギーを軽視し、風力タービンはがんを引き起こすと主張している。2017年の日食では医師の助言を無視して、サングラスをかけずにじかに太陽を見つめた。

 ほぼ世界的に科学的見地が一致している人為的な地球温暖化についてはほとんど取り組まず、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定(Paris Agreement)から米国を離脱させた。

 不動産実業家から政治家に鮮やかに転身したトランプ氏は、運動することを断固拒否しており、そして高齢の友人らについては「運動したために今では膝関節や股関節の置換手術の世話になっている」と言ってはばからない。

 トランプ氏は「優良遺伝子」のおかげだとして医学通を自称している。特に米マサチューセッツ工科大学(MIT)で教えていた「偉大な超天才」である叔父のジョン・トランプ(John Trump)氏からそれを受け継いだと主張する。

 パンデミック危機の初期だった3月、米疾病対策センター(CDC)の研究所を訪れたトランプ氏は「こういうものは好きだ。よく理解できる」と発言。さらに「ここの医師みんなから、『どうしてそんなによく知っているのですか?』と聞かれた」「たぶん生まれつきの能力だろう。大統領選に出る代わりに、こっちをやるべきだったかもしれない」と語っていた。