【5月23日 CNS】中国・四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)と郊外の都江堰市(Dujiangyan)を結ぶ成灌鉄道(灌は都江堰の略称)の列車は12日、多くの乗客を乗せていた。成都市中心部から都江堰市まで30分足らず。この日は四川大地震12周年の日で、成灌鉄道開通10周年の節目だった。

 成灌鉄道は2010年に誕生した中国初の都市高速鉄道で、総距離は成都駅から都江堰市の青城山駅(Qingchengshan Station)まで65キロ。16種類の最新技術を導入し、路盤上に枕木を直接設置する無道床軌道の方式を全線に採用した。都市エリアで時速200 キロのスピードを実現し、国内で最も先進的な防音壁も導入した。

 成都市と周辺都市を結び、平日は主に通勤通学客を、週末は買い物やレジャーを楽しむ客を乗せている。中国鉄道成都局集団公司の担当者は「成灌鉄道は都市高速鉄道の先駆け役を果たした。北京や上海などの大都市も同様の鉄道を開通し、市中心部と周辺都市を効率的に結びつけている」と話す。

 成灌鉄道は2008年5月12日の四川大地震発生後、四川省で最初の大規模プロジェクトだった。2008年11月4日の着工から、わずか18か月で完成。中国鉄道成都局集団(China Railway Chengdu Group)の担当者は「成灌鉄道の早期完成は、被災地の人々の復興意欲をかきたてた」と振り返る。

 都江堰市は、世界遺産に指定されている古代のかんがい施設や道教の名山・青城山などがある観光地。都江堰市文化スポーツ観光局の劉建華(Liu Jianhua)副局長は「成灌鉄道の開通により市内の観光が回復し、にぎわいを取り戻した」と話す。

 震災翌年の2009年、都江堰市を訪れた観光客は958万人で、観光収入は合計42億800万元(約647億9435万円)だったが、鉄道開通から1年後の2011年の観光客は1467万人、観光収入は63億3000万元(約958億3050万円)に増加した。この10年間で成灌鉄道の利用客数は6570万人に上り、市民の生活や経済を支える大動脈となっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News