【5月22日 CNS】女の氏名、年齢、戸籍、身分証、家産、経歴などは全部ウソで、結婚式に参加した新婦側の「家族」も金で雇われた役者だった。広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)増城区(Zengcheng)に住む男性の東さん(仮名)は、結婚して家庭を持つという人生の大きな節目を実現しようとするあまり、自身がだまされていたことに気づけなかった。警察は19日、詐欺の容疑で女を逮捕した。

 2018年3月、東さんは出会い系サイトで萱(仮名)という名前の女と知り合い、付き合い始めて1か月もしないうちに、女から妊娠したと告げられる。両親とあいさつをして、二人は同居を始めた。

 同年9月、東さんが結婚登記の準備を始めると、女は戸籍地の土地が国に徴用されることとなっており、もし結婚して戸籍を移すと、土地の補償金がもらえなくなると言った。結婚登記だけであれば友人に頼めばやってもらえるし、新郎は行く必要はないというので、東さんは特に疑いもしなかった。それから間もなく、女は「結婚証明書」を家に持ち帰ってきた。

 その後、女は東さんに、滋養強壮品の商売をするために10万元(約150万円)をねだった。商売は一時うまくいったが、商品の仕入れや支店の開設などで支出もかさみ、女は東さんとその家族から多くの金を借りた。

 18年11月、女は東さんに「妊婦検診に行ったら、医師から胎児の心音がないと告げられ、堕胎手術をした」という。東さんは心を痛めたが、翌19年春に結婚披露宴を行うことにした。

 披露宴の日が近づくと、女は焦った。実は、女には結婚歴があり、2歳の子どももいた。さらに、女の身分証明書は偽造で、東さんとの結婚証明書もネット経由で作った偽造のものだった。双方の家族が顔を合わせた際に女の家族として出席した人間は、女が金で雇った役者だった。

 女は再びネット経由で1万6000元(約24万2000円)を支払って12人の臨時の役者を雇い、父親、祖父、祖母、叔父、叔母と姉妹の役を演じてもらい、結婚披露宴をクリアした。

 19年後半のある日、東さんの親戚から、女に貸した6万元(約90万9000円)の返済を督促しても返してくれないとの話が来る。東さんが女に言うと、女は認めず、二人はけんかとなり、女は家を出ていった。女が不在の日々、東さんは家の中で1枚の身分証明書を見つけた。この身分証明書に貼ってある写真は女のものだったが、年齢は2歳若く、住所も別の住所となっていた。

 東さんはさらに多くの問題を知ることになる。この1年余りで、女は仕事探し、開店、家の購入や内装、婚礼の謝礼金などの名目で、東さんとその家族から数十万元(1元=約15円)を手に入れ、加えて、東さんの身分証を使ってネット金融から20万元(約300万円)を借りていた。

 悩んだ東さんは警察に相談。広州警察は捜査の中で、東さん以外の被害者からも訴えを受けた。いずれも、店の共同経営や滋養強壮品の商売がらみの詐欺行為で、被害金額は数千元から数万元だった。

 現在、女は詐欺と公文書偽造の容疑で逮捕され、起訴手続きに入っている。(c)CNS/JCM/AFPBB News