【10月15日 CNS】90年生まれの許明(Xu Ming)さんはもうすぐ30歳になる。長らく結婚が決まらないことで両親を心配させてしまい、自分でも焦りとなっている。彼は数年前からスマートフォンに婚活アプリを10個ほどインストールし、アプリのVIP会員の年間費用だけでも数千元(1元=約15円)を払っている。

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 許さんは「婚活アプリを使う場合、無料会員は検索機能やメールなどの機能が使えない。VIP会員になって初めて検索もできるし、相手との連絡も許可されるようになる」と話す。グレードの低いVIP会員の会費は年間100~400元(約1500~6000円)で、グレードの高い会員になると、専任の顧客サービスを受けることが可能になり、会費は年間1000元(約1万5000円)を超える。無料会員と有料会員の差が大きいので、早く結果を得たい人は、VIP会員を選ばざるを得ない。

 許さんは「お見合い目的の婚活サイトを否定はしない。多くの婚活サイトは必ずしも役に立たないことも知っている。ただ、自分にその必要性がある限り、ほかに選択肢はない」という。「お見合いの失敗が何度も続くと、挫折や疲労を感じることもあるが、なんとしてでも探し続けなければいけないので、アプリの維持費用は必須だと思っている。今後、この費用は増えていくだろう」とあきらめ気味だ。

 民政部が先日発表した報告によると、2018年の全国の結婚率は7.3‰(パーミル)で、前年比で0.04ポイント下がり、11年来最低となった。これに対し、データ分析会社の北京比達情報諮詢(BigData-Research)によると、2019年の第1四半期の時点で、婚活類アプリのアクティブユーザーは2000万人を超え、ユーザー年齢は主に25歳~35歳とのことだ。

 専門家は「90後」や「95後」と呼ばれる20代後半から30代の若者らの愛情表現は、その奔放なイメージとは異なり、実際は保守的で「見合い不要」と言いながらも気持ちを素直に表せないタイプが多いとしている。奔放さは見かけだけなのだ。人生の伴侶を探す若者にとって、婚活市場での少なからぬ投資は可能性が低いことが分かっていても、残された一筋の希望であるのかもしれない。(c)CNS/JCM/AFPBB News