【5月19日 AFP】労働組合の国際組織は17日、米ファストフード大手マクドナルド(McDonald's)の世界各地の店舗で広範にセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)が発生しているとして同社を相手取り、経済協力開発機構(OECD)に申し立てを行ったことを明らかにした。

 申し立ては、国際食品関連産業労働組合連合会(International Union of FoodworkersIUF)」が、OECDのオランダ事務所に行った。IUFによると、多国籍企業を相手取った同様の訴えは初めてだという。

 IUFのスー・ロングリー(Sue Longley)書記長は、「マクドナルドの従業員らは長年、性的嫌がらせや性別に基づく暴力に警鐘を鳴らしてきたが、経営陣以下、企業文化が腐敗している同社では、問題に対処する意義のある行動が取られてこなかった」と述べた。

 ロングリー氏はさらに「マクドナルドは安全な職場づくりのための行動を怠っており、オランダ政府はこの申し立てを受けて、ゴールデンアーチ(マクドナルドのシンボル)の下で直面しているハラスメントのまん延に効果的に対処できる力を労働者らに与えるべきだ」と表明した。

 訴状には「レイプ未遂、公然わいせつ、痴漢行為、性的嫌がらせ」などに関する目撃証言が記され、最年少の被害者は16歳とされている。「また報告しても無視されたり、からかわれたり、罰せられたり」し、中には勤務時間の短縮や解雇といった処分を受けた従業員もいたという。

 また、米国、英国、オーストラリア、ブラジル、チリ、コロンビア、フランスなど多くの国のマクドナルド店舗で、「体を触ったり、無理やりキスをしたりするなどの強制的な身体接触」が発生しているとも指摘している。

 フランスでは、マクドナルドの店長が「携帯電話のカメラを女子更衣室に取り付け、若い女性の着替えなどを盗撮していた」事件もあったという。ある被害者は「性別に基づく暴力や嫌がらせはマクドナルドの文化の一部だ」と訴えている。

 一方、マクドナルド側は声明で、受け取った訴状を検討するとしつつ、同社は「人を最優先する企業」であると強調。「米国や世界各地で、安全で礼儀正しい職場づくりに関して非常に重要な話し合いが持たれている」と述べた。

 また「世界中でマクドナルドと提携企業は、この問題に取り組む責任を負い、前向きな変化をもたらす努力をしている」と付け加えた。(c)AFP