【5月16日 AFP】ブラジルで、新型コロナウイルスの感染拡大が38の先住民族にまで及んでいる。ブラジル先住民連合(APIB)が15日、明らかにした。国外から持ち込まれた疾病によって多くが死亡した過去を持つ先住民に対してさまざまな懸念が高まっている。

 APIBは、「ウイルスは、ブラジル各地の先住民の土地に驚異的な速さで到達している」と発表。APIBの調査によれば、同国のアマゾン(Amazon)地域を中心に、感染が確認された先住民族の中で446人が感染し、92人が死亡した。

 この発表の前日には、北部マナウス(Manaus)市郊外で暮らす先住民族パルケ・ダス・トリーボス(Parque das Tribos)の人々が、新型ウイルス感染により死亡したメシアス・コカマ(Messias Kokama)首長(53)の葬儀を行ったばかり。首長のひつぎは、ウイルスの拡散を防ぐためにポリ袋に包まれた状態で埋葬された。

 中南米地域で新型ウイルスの流行が最も深刻なブラジルでは、これまでに約22万人が感染し、1万5000人近くが死亡しているが、専門家らは、検査数が少ないため実際の数はこの15倍以上にも上る可能性があるとみている。

 また先住民らの権利保護団体「サバイバル・インターナショナル(Survival International)」によると、新型ウイルスの流行を受け、違法な採鉱業者や伐採業者が先住民族の土地を侵略しやすい環境を生んでいる。(c)AFP