【5月15日 AFP】南極(Antarctica)近辺に生息するオウサマペンギン(キングペンギン)のふんから、「笑気ガス」とも呼ばれる亜酸化窒素が大量に排出されていることが分かったとする論文が14日、デンマークの研究チームにより発表された。研究者らはこのガスのせいで、若干「おかしく」なってしまったという。

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 研究を主導したコペンハーゲン大学(University of Copenhagen)地球科学・自然資源管理学部のボー・エルバリング(Bo Elberling)教授は、「ペンギンのふんの堆積物(グアノ)は、集団繁殖地の周辺に亜酸化窒素を発生させる」と説明した。

 研究者らが南米大陸と南極の間の大西洋に浮かぶ英領サウスジョージア(South Georgia)島で、オウサマペンギンの集団繁殖地を観察していたところ、ペンギンのふんに囲まれていたため「おかしく」なってしまったという。

 亜酸化窒素には、歯科医院で使われる笑気麻酔と非常に似た作用がある。また温室効果ガスの一種でもあり、環境への悪影響は二酸化炭素(CO2)の300倍に達する。

 エルバリング氏は「数時間にわたりふんの堆積物のにおいを嗅ぎ続けると、完全におかしくなってしまう。気分が悪くなり、頭痛がしてくることもある」と述べた。

 ペンギンのふんが亜酸化窒素を大量に排出していることは、窒素の含有量が多いオキアミと魚を主食としていることで説明できる。ペンギンのふんから窒素が地面と土壌細菌に伝わり、亜酸化窒素へと変換されるという。

 エルバリング氏は、「今回の例での亜酸化窒素の排出量は、地球のエネルギー収支に影響を及ぼすほどではない。しかし、今回の発見はペンギンの集団繁殖地が周辺環境に及ぼす影響について新たな知見を与えた。集団繁殖地は広がり続けており、興味深い発見だといえる」と語った。(c)AFP