【5月15日 AFP】新型コロナウイルスに対するワクチン開発を担う米政府機関、生物医学先端研究開発局(BARDA)の局長を解任されたリック・ブライト(Rick Bright)氏は14日、下院の公聴会で証言し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権には新型ウイルスの流行と闘うための「マスタープラン(基本計画)」がなく、米国民に対し十分なワクチンを提供する準備ができていないと警告した。

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 同局長を先月解任されて以来初となる議会証言に臨んだブライト氏は、明確な計画と対策面での協調改善がなければ、2020年は米国民にとってここ数十年で「最も暗い冬になる可能性がある」と言明。さらに、今後1年から1年半でワクチンが開発できるとの見通しは甘過ぎるとし、「それ以上かかる」との見解を示した。

 生え抜きの公務員であるブライト氏は、自身が解任されたのは政治的圧力が理由だったと主張。新型ウイルス対策としてトランプ政権が効果の証明されていない薬物療法を推進していることに反対したためだと説明した。

 ブライト氏は、政府が医療従事者向けのN95マスクなど個人用防護具の備蓄強化を怠ったとも主張。「私はそれを、厚生省で自分が可能な最高レベルまで推し進めたが、回答は得られなかった」とし、「その瞬間から、われわれが行動を起こしていないために医療従事者が危機に直面することになると分かった」と述べた。(c)AFP