【5月13日 AFP】国連(UN)はこのほど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)の影響で、収集される気象観測情報が激減していると発表した。自然災害の予測に用いられる天気予報や気候・大気の監視などへの影響が懸念されると、国連は警告している。

 国連の世界気象機関(WMO)は、新型コロナウイルスの感染拡大により、航空機から収集される気象観測データが通常時との比較で平均75~80%減となっているとして注意を促した。

 WMOによると、民間およびその他の航空機に搭載されたセンサーを利用してWMOが実施している「航空機観測データ中継(Aircraft Meteorological Data Relay)」計画では通常、気温や風速とその測定時間情報などを含む質の高い観測データが1日に80万件以上得られるという。

 だが、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)措置や渡航制限で世界中の定期航空便が運航停止となっていることで、航空業界は大きな打撃を受けている。

 WMOによると、一部地域への影響は他地域よりも大きく、南半球では航空機を利用した気象観測が90%近くの減少を示しているという。

 同時に、地上での気象観測についても測定データが減少している。特に多くの観測所が手作業で運用されているアフリカや中南米の一部地域などで顕著だという。

 WMOの全球観測システム(Global Observing System)で蓄積されているデータは、天気に関する分析や予報の他、勧告や警告などに用いられる極めて重要な観測情報であるため、このような状況は憂慮すべきものであるとWMOは指摘している。

 ただ、人工衛星と地上観測のネットワークを利用する地球規模の観測システムの大半は、部分的または全面的に自動化されているため、「数週間は大きく劣化することなく」機能し続けることが見込まれると、WMOは説明した。(c)AFP