【5月10日 AFP】新型コロナウイルスの感染が深刻なインド西部アーメダバード(Ahmedabad)で9日、当局がドローンや消防車などを使って街を消毒した。

 住民たちは、消毒剤を散布するドローンを自宅のベランダから見守り、閑散とした通りには消防車などの車両が出て消毒剤を噴霧した。

 これまでに新型コロナウイルスに感染して死亡した人はインド全体で約2000人。そのうち343人が人口550万人のアーメダバードでの死者だ。感染者もインド全体の約10%がアーメダバードで報告されている。グジャラート(Gujarat)州はナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相の地元だが、州内の他の都市も深刻な状況だ。

 インドは3月25日から世界で最大規模のロックダウン(都市封鎖)を実施。アーメダバードでは新型コロナウイルス感染が拡大していることから8日に対策が強化され、数百人の治安要員が街に出て外出した人を取り締まった。また事実上すべての店が少なくとも1週間の営業停止に入った。

 8日夜には、外出して投石した住民らに対し治安部隊が催涙ガスを使用し、少なくとも15人が逮捕された。

 翌9日に警察は取り締まりを強化したが、同州有数の工業都市、スラト(Surat)で約500人の移民労働者が警官隊と衝突。投石し、故郷に帰るのを認めろとシュプレヒコールを上げる移民労働者らに警察は催涙ガスを使用した。警察は、この騒ぎで約50人を逮捕したと発表した。

 ダイヤモンド産業や繊維産業で知られるスラトには80万人を超える移民労働者がいる。ロックダウンで工場が閉鎖されたため多くの移民労働者が職を失った。スラトでは約900人が新型コロナウイルスへの感染が確認されており、州内で2番目に深刻な状況になっている。

 当局は新型コロナウイルス危機を押さえ込んだとして、国内各地で予防措置を緩和し、農業や一部の企業が業務を再開している。しかし専門家らは、ロックダウンをしたにもかかわらず死者は増え続けていると警鐘を鳴らしている。

 新型コロナウイルスの感染は、首都ニューデリーやインド有数の金融・商工業の中心地、ムンバイ(Mumbai)などの大都市でも急速に広がっている。(c)AFP