【5月8日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は着用していない。フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は小さな国旗をあしらったものを着けた。スロバキアの大統領は、自身の服に合わせた鮮やかな赤紫色のものを選び、ファッションとしてもアピールした。

 世界各国で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)措置の緩和が始まっている。人々は、感染防止用品としてマスクの効果について、矛盾する複数の説が出ていることで疑問を感じており、首脳らがマスクを着けているかどうか、またどんなものを選んでいるかに注目が集まっている。

 感染拡大の初期には、欧米の多くの政府が一般市民のマスク着用に否定的だった。

 しかし、有効な治療法もワクチンも存在しないまま職場復帰に向かう今、マスク着用は手洗いやソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)と同様に推奨され、中には重要なウイルス予防策として義務化しているところもある。

 政府が方針転換をする中、首脳らはマスクを着けるか否か、独自の選択を迫られた。

 米シカゴにあるノースウェスタン大学(Northwestern University)のジャクリーン・ゴラン(Jacqueline Gollan)氏(行動科学)はAFPの取材に対し「公の場でマスクを着けるか着けないかは、各指導者がどういったメッセージを伝えたいかによる」と話した。

「公衆衛生の促進を重視するなら、マスクを着ける可能性が高い。感染リスクは低く、事態は平常に近づいていることを伝えるべきだと思うなら、着けないだろう」と述べた。

 一部の首脳は公務で、一般的なマスクや、より防御力の高い医療用マスクを着用するようになっている。多くの政府が市民に使用を推奨している、繰り返し洗える布マスクを着けている首脳もいる。

 一方、トランプ米大統領や、ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領らは、マスクなしでの外出を続けている。

 英エディンバラ大学(University of Edinburgh)で医療の電子化研究を専門とするクラウディア・パリアーリ(Claudia Pagliari)氏は、各首脳の動機はどうあれ、マスク着用に関する「勧告に従うべきか無視するべきか、多くの人が参考にするだろう」と話した。

 世界保健機関(WHO)は、すべての人にマスク着用を義務付けることは推奨していない。(c)AFP/Mariette Le Roux