【5月10日 CNS】中国・雲南省(Yunnan)昭通市(Zhaotong)で先ごろ、湖南省(Hunan)益陽市(Yiyang)から出荷されたコメの重金属含有量が基準を超えたため、焼却処分としたニュースが伝わった。益陽市政府はこれを受け、事実関係を調査するとともに、関係する企業7社を立件・捜査することを決めた。

 3年前にさかのぼると、益陽市のある企業がカドミウム基準値を大幅に超えたコメ1440トンを各地に販売したことがあり、その販売先に雲南省昭通市が入っていた。実際には、カドミウム米だけでなく、カドミウム小麦やその他の重金属に侵された食糧作物は多い。監督部門の流通流域に対して行った処罰や問責など、枚挙にいとまはない。

 専門家によると、現在、中国は化学肥料と農薬の減量を進めているが、実際の農業生産の中で使われる化学肥料の量は世界総量の30%を超え、カドミウム、ヒ素、クロミウムなどの重金属に汚染された耕作地の面積は増え続けている。中国でカドミウム汚染米が出現するのは、過度にリン酸肥料を使っていることが一因だ。2013年に汚染米が問題となった際に、専門家が調査をした結果、汚染米が出た周囲には重金属企業はなく、カドミウム汚染は肥料から来ているのではないかと指摘されていた。

 このほか、湖南省には非鉄金属の鉱山が多く、鉱山による汚染もカドミウム汚染米を産出する原因の一つだ。もし、カドミウムを含む廃棄物を分離回収できなければ、焼却処理や埋め立て処理を問わず、土壌のカドミウム汚染は避けられず、カドミウムを含む固体廃棄物による土壌汚染が汚染米を産み出す原因となっている。

 カドミウムは水稲によって吸収されて種子の中に蓄積し、食物連鎖の中で人類の健康に深刻な脅威となる。人がカドミウムを含む食物を食べると、腎臓、肺、肝臓などにたまり、長期的な蓄積は中毒となり、臓器や骨の病変をもたらすとされる。

 専門家は「カドミウム汚染米などの食糧の安全を抜本的に解決するためには、上流の土壌汚染から着手すべきで、農業をシステムとしてとらえ、農業の全プロセスの管理モデルをつくり上げ、化学農業からの転身を図らねばならない」と話している。(c)CNS-科技日報/JCM/AFPBB News