【5月13日 AFP】米ハリウッド映画界では、新型コロナウイルスの流行を受けて撮影中止に見舞われ、何週間も収益が大きく減少し、業界の重鎮も監督、弁護士らも活動再開に向けて抜本的な解決策を模索している。

 3月半ばに厳しい外出制限令が出されたカリフォルニア州では、今月に入り徐々に規制の緩和が始まったが、映画界もロックダウン(都市封鎖)の影響にさらされている。映画やテレビの撮影には、大人数の出演者・スタッフが必要とされるため、とりわけ感染拡大の影響を受けやすい。

 政府は制限の段階的緩和を検討しているが、内部関係者からは、たとえそうでも、ハリウッドの巨額の経費と負債を考えれば、今後の映画製作は様変わりする可能性が高く、実現するとしても何か月も先のことになりそうだとの声が上がっている。

 カリフォルニア州は感染拡大を抑制しているとして対策を評価しているが、同州では4万5000人以上の感染者が確認されており、感染者はロサンゼルス周辺に偏っている。

 そのため保険会社は、撮影現場での感染拡大によって撮影が中止した場合の損害額を保険でカバーすることを拒否している。撮影延期によって、超大作プロジェクトには数百万ドル(約数億円)の損害が出る恐れがある。

 映画会社を訴訟から守る方法として、「新型コロナウイルスによる損害賠償請求などの権利放棄書」に被雇用者が署名することがもてはやされているが、特に大物スターが関与している場合は、有効性が未知数だ。

 映画『ハート・ロッカー(The Hurt Locker)』でアカデミー賞(Academy Awards)を受賞したプロデューサーのニコラス・シャルティエ(Nicolas Chartier)氏は、群衆シーンをCGで作ることは選択肢として検討しているが「莫大(ばくだい)な費用がかかる」と語る。

『ラスベガスをやっつけろ(Fear and Loathing in Las Vegas)』のプロデューサー、スティーヴン・ネメス(Stephen Nemeth)氏は、「個人的な意見だが、これまでに分かっている大作映画は、ワクチンができるまでは実現しないだろう」と指摘する。