【5月6日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は5日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受け一時停止していた経済活動の再開により、感染症による死者がさらに出る可能性を認めた。

 米ABCニュースで、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)措置の解除や経済活動の再開によって累計死者数が増えると思うかと聞かれたトランプ氏は「いくらか増える可能性はある」との見解を示し、「アパートでも家でも、何であれ、閉じ込められることがなくなるからだ」と述べた。

 この日、トランプ氏は視察先のアリゾナ州フェニックス(Phoenix)にある米テクノロジー大手ハネウェル・インターナショナル(Honeywell International)のマスク工場から取材に応じた。

 工場視察中にもトランプ氏は、封鎖解除によって「一部の人に悪影響があるかって? それはそうだ」と認め、「だが国を再開させなければならない」と主張。医療従事者など新型ウイルス対応の第一線で働く人々が使うマスクを量産するハネウェル工場の従業員らを称賛しつつ、先々に目を向けるべき時だと改めて強調し、「私がチアリーダーになりたい」と述べた。

 ホワイトハウス(White House)も、この方針転換を強化し、新型ウイルス流行を受けてトランプ氏が発足させた緊急対策本部は6月初旬までに解散される可能性があると説明している。

 今回の工場視察はトランプ氏にとって、新型ウイルスによるロックダウン(都市封鎖)開始以来初めての長距離移動による訪問だった。新型ウイルスの脅威は衰えていると主張するトランプ氏は、マスク製造工場の見学中もマスクの着用を拒否した。

 再選を狙うトランプ氏の11月の大統領選に向けた選挙運動は、新型ウイルスの感染拡大防止策として実施された大規模な外出禁止令で打撃を受けている。新型ウイルスの流行で、米国ではこれまで7万人の死者が出ており、さらに数万人が犠牲になると予想されている。(c)AFP/Brendan Smialowski with Sebastian Smith in Washington