【5月5日 AFP】中国南部の広東(Guangdong)省は、事業者や施設を対象に、多数の差別禁止策を導入した。同省では先月、アフリカ系住民が強硬な弾圧を受けているとして、国際社会から怒りの声が上がっていた。

 同省の省都広州(Guangzhou)では、移民が多い地区で新型コロナウイルス感染症のクラスター(感染者集団)が確認された直後に、当局がアフリカ系住民に対する一斉検査を開始。その後、人種差別や外国人嫌悪の報告が相次いだ。

 広州のアフリカ系住民から、警察による滞在施設からの強制退去、商店や飲食店の利用拒否、新型ウイルスの集団検査や恣意(しい)的隔離といった訴えが多数寄せられたことを受け、新たな人種差別禁止規則が先週末発表された。

 国営中国新聞社(CNS)の3日の報道によると、事業者や居住施設には「差別のないサービスを徹底し、広東省のすべての中国人と外国人を平等に扱い、人種差別をはじめ、差別的なあらゆる発言や行動に断固たる対応を講じる」ことが義務付けられるという。

 これらの新施策は、アフリカ系住民から上がっていた懸念の一部に配慮したものとみられ、特定の国籍の人々を対象とした厳しい入場要件の設定を禁止し、外国人の乗車を拒否したバスやタクシーに対する処罰にも言及している。

 さらに、家主が説明なく賃貸契約を取り消すことや、家賃を引き上げることも禁止された。とはいえ、特定の罰則の詳述には至っていない。

 先月11日の当局の発表によると、広州ではアフリカ人計111人が新型ウイルス検査で陽性反応を示し、うち19件が海外からの流入症例だった。広東省の流入症例の大半は、中国人帰国者とされる。

 米ファストフード大手マクドナルド(McDonald's)も、問題をめぐって批判を受けた事業者の一つ。広州の店舗が黒人入店禁止の表示を掲げ、ネットで怒りの声が噴出したことから、同社は謝罪している。(c)AFP