【5月5日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は3日、新型コロナウイルス流行の推移が最悪のシナリオをたどった場合、累計死者数が6月までに10万人に達するとの見方を示した。トランプ氏の見解はいくつかの科学的モデルに基づいたもので、どのモデルも夏にウイルス流行が収束するとの見通しを示していない。

 トランプ氏は米FOXニュース(Fox News)が放送したインターネットを通じた市民とのタウンホール(対話集会)形式の番組で、「これからも7万5000人、8万人、10万人といった人々の命が失われるだろう。恐ろしいことだ」と述べた。

 共和党の現職大統領として11月の再選を目指すトランプ氏は、世界最大の米国経済をまひさせているロックダウン(都市封鎖)を実施していなければ死者ははるかに多かったはずで、「最低でも」120万人以上になっていただろうと主張した。

 しかし、現実はトランプ氏が挙げた10万人という数字をかなり超えそうだ。米国でこれまでに確認された累計死者数は6万8000人を超えており、4月は1日当たり約3万人の新規感染者数を記録した。いくつかの州ではウイルスの感染拡大を制御できていないにもかかわらず、ロックダウンの解除に乗り出している。

 ホワイトハウス(White House)自体、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で死亡する米国人は10万人から24万人に及ぶと予想している。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じた内部報告書によると米疾病対策センター(CDC)では、新規感染者数が5月中旬から急増し、6月1日までに1日20万人に達すると予測している。1日当たりの死者数は現在の2倍の3000人近くに達するという。

 米マサチューセッツ大学(University of Massachusetts)のニコラス・ライク(Nicholas Reich)準教授(生物統計学)は、「6月初旬ごろまでに死者が10万人に達するというのが、私個人的には最も有力な見方だ」と述べた。ライク氏の研究室でいくつかの主要モデルを検討したところ、米国の累計死者数は今月23日までに9万人に達する可能性があるというのが平均的な見通しだったという。(c)AFP/Ivan Couronne