【5月4日 AFP】新型コロナウイルス流行を受け、学校閉鎖が学年末の9月まで継続されることが決まったイタリアで、数人単位での保育所利用や屋外での少規模サマースクールの開催を検討する動きが出ている。ロックダウン(都市封鎖)が2か月に及ぶ中、遊びたくてたまらない子どもたちに配慮した形だ。

 9月までの学校閉鎖は、働く女性や子どもたちへの代償が大きすぎるとして、イタリアの新型コロナ対策の中でも批判の声が多い政策の一つ。

 こうした中、教育省の発表と全国紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)の2日の報道によると、政府は6月から幼稚園と保育所を利用した0〜6歳児の少人数保育を認める方針だ。

 計画では、子どもを参加者固定の3〜6人の超少人数グループに分け、時間交代制で通園する。子どもたちは園内に入る際に検温を受け、園内では事前に消毒されたおもちゃだけを使用し、家庭からのおもちゃの持ち込みは禁止される。子どもたちはマスクを着用しないが、教師や保育士は着用する。

 ルチア・アゾリーナ(Lucia Azzolina)教育・大学・研究相は、小・中等学校の校庭や体育館の使用も可能との見方を示した。子どもたちがなるべく長く外で過ごせるように計画されたものだと報じられている。

■森や公園、博物館で授業を

 一方、9月の学校再開について方法を検討する専門家委員会のパトリツィオ・ビアンキ(Patrizio Bianchi)委員長は、学校制度の大変革が必要になると日刊紙レプブリカ(Repubblica)に語った。

 ビアンキ氏は、今後5年間は毎年30億ユーロ(約3500億円)を投じて、老朽化した校舎の修繕と各家庭で学習が可能なインターネット環境の整備を進めることを推奨。さらに、多くの授業を屋外で行うことを提案している。

「(伊北部)トレンティノ(Trentino)では森林を、ミラノ(Milan)では博物館を、ローマでは公園を利用する必要があるだろう」(ビアンキ氏)

 教室も、生徒20人が机を同じ方向に並べて授業を受ける従来の形式から、最大10人を限度とする少人数クラスで机を半円形に並べて座る形式に変わり、登校時間もずらすことになるという。

 ビアンキ氏はさらに、教師の給与も引き上げるべきだと指摘している。(c)AFP/Ella IDE