【5月1日 AFP】ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は4月29日夜、世界保健機関(WHO)が幼い子どもに同性愛と自慰行為を推奨していると主張した。ボルソナロ氏は、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)などの新型コロナウイルス対策を勧告するWHOとたびたび衝突し、対策に疑問を呈している。

 極右のボルソナロ氏はフェイスブック(Facebook)で、「WHOの新型コロナウイルスに関する勧告に従うようにと言ってくる人々もいるが、これがWHOだ」「WHOの教育政策ガイドラインにも従うべきなのか? 0〜4歳児:体に触れた時の満足感と快感、自慰行為……4〜6歳児:肯定的な性自認、幼児期における自慰行為、同性愛……9〜12歳児:初体験」と述べたが、後に投稿を削除した。

 ボルソナロ氏は情報源に触れていないが、WHOがこうした行為を幼い子どもたちに推奨しているとほのめかすソーシャルメディア投稿を参照したものとみられる。

 これに先立ち、ボルソナロ氏の顧問を務めるアルトゥール・ワイントローブ(Arthur Weintraub)氏はツイッター(Twitter)に、「WHOのガイドラインは、0〜4歳児に『自慰行為』や『快感と快楽』、『体に触れること』『ジェンダー・イデオロギー』を教えるよう推奨している。これは正しいのか?」と投稿していた。

 ワイントローブ氏の情報源は、2010年にドイツ連邦健康教育局(BZgA)とWHO欧州地域事務局が共同で発表したガイドライン「欧州における性教育の基準(Standards for Sexuality Education in Europe)」とみられる。

 このガイドラインは、主要項目として取り上げてはいないものの、幼い子どもは通常、自分の体に興味を持つものだと説明し、子どもが自分の体を触ったり性に興味を持ったりするのは普通の行動だと保護者や教育者に伝えている。しかし、ボルソナロ氏が例示したような行為については、一切推奨してはいない。

 AFPはボルソナロ氏のフェイスブック投稿についてブラジル大統領府にコメントを求めたが、回答は得られていない。(c)AFP