【5月1日 AFP】選手同士は握手を交わさず、線審をはじめボールキッズや観客もいないながらも、テニスファンは30日からドイツの地方都市で行われるエキシビションマッチシリーズのライブ配信を楽しむことができる。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により、テニスの男女ツアーは少なくとも7月13日になるまでシーズン中断となっている。しかしながら、ドイツの地方都市コブレンツ(Koblenz)郊外の小さな町ヘールグレンツハウゼン(Hoehr-Grenzhausen)にあるベース・テニス・アカデミー(Base Tennis Academy)では、8選手によるエキシビションシリーズが行われ、ファンが視聴を楽しめることになった。

 出場選手の中で最も名が知られるのは、2015年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2015)2回戦において、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)を破ったことで知られるダスティン・ブラウン(Dustin Brown、ドイツ)。全員が世界ランクトップ100圏外となっており、最上位は143位のヤニック・ハンフマン(Yannick Hanfmann、ドイツ)となっている。

 アカデミーのクレーコートにはすでにカメラが設置されており、試合は世界中に配信される予定。新型コロナウイルスの影響で、一度にコートに入れるのは選手2人と主審だけとなっている。

 米国だけで6200万人のチャンネル登録者を持つデジタル放送局のテニス・チャンネル(Tennis Channel)は30日、5月7日、同14日に計3シリーズを中継。ハンフマンは独スポーツ通信社SIDに対して、「とてもわくわくしている」「すごくクールだ。どれだけたくさんの人が見てくれるか興味がある」と語った。

 ドイツが最初に新型コロナウイルスの大流行に見舞われた3月中旬から、ハンフマンは「普段はあまり会わなかったり、しばらく疎遠になったりしていた」家族やガールフレンドと会いながら、カールスルーエ(Karlsruhe)の自宅で過ごしていたという。しかしながら、たとえ賞金がわずか200~300ユーロ(約2万3000円~3万5000円)であっても、今は「心のうずきや試合が懐かしい」と話した。

 その一方で、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)やナダル、そしてロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)らスーパースターが、下位ランクの選手のために財政支援を行う基金を設立したことについては、あまり意に介しておらず、「そのほかの選手の気分を良くするために、なぜトップ10内の選手が責任を持つ必要がある?」と疑問を投げかけていた。(c)AFP