高齢男性コロナで重体、息子が付き添い 病室に2人で34日 スペイン
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【4月30日 AFP】スペイン・マドリード近郊のコスラダ(Coslada)にある病院で、新型コロナウイルスに感染し重体となった高齢男性に息子が付き添うことが例外的に許可され、息子は34日間も病室ですごした。入院当初は生命が危ぶまれた高齢男性は回復し、先週末、息子と共に退院した。同病院の広報が29日、明らかにした。
病院の広報担当者はAFPに対し、70代半ばのレヒノ・マルティネス(Regino Martinez)さんが入院した際、「医師らは深刻な病状であと3~4時間の命だと言った」と明らかにし、「そのような場合、われわれは近しい親族が患者と一緒にいることを許可している」と説明した。しかしマルティネスさんは、治療に良い反応を示し、回復し始めたという。
広報担当者によると、息子のフアン・アントニオ(Juan Antonio)さんは入院初日の夜、父親に付き添い、2日目も同じことをしたが、その後自身の感染が疑われ病室を出ることを禁じられた。検査で陰性となり病院側から家に帰ってもよいと言われたが、病室にとどまることを決めたという。
フアン・アントニオさんはラジオ局「カデナ・セール(Cadena Ser)」のインタビューで、「今回のことは、お互いをよく知る良い機会になった」と述べた。
広報担当者は、病気の家族に誰でも付き添えるわけではなく、息子の病室滞在を許可したのは「状況を踏まえた例外的な判断」だったと述べた。「通常、患者の容体が悪化してあと数日しか生きる見込みがない場合に限り、厳重な防護措置を取った家族が15分間病室にいることを許可する。その際、心理学者が常に付き添うことになっている」と説明した。
スペイン厚生省の29日の発表によると、新型コロナウイルスに感染してこれまでに同国で死亡した人は2万4275人だが、回復した人は直近の24時間では6399人、累計で10万8947人となっている。(c)AFP