【5月6日 AFP】南アフリカの故ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領について書かれた本を抱えながらルアさん(12)は、「本を読んでいるのではなく、むさぼっている」と話す──。

 ルアさんが集めた数千冊の本による図書館が、ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)のタバハラス(Tabajaras)地区にオープンした。ここはコパカバーナ(Copacabana)やボタフォゴ(Botafogo)といったあか抜けた地区を見下ろす丘の上のファベーラ(貧民街)の一つだ。

 トタン板の屋根がのった小さな粗末な地域センターに、ルアさんは1万8000冊の本を持ち込んだ。ブラジルの貧民街の住民たちにとってははるか遠くに思える世界とつながる手助けになればと考えたからだ。

 ライサ・ルアラ・デ・オリベイラ(Raissa Luara de Oliveira)さんのあだ名「ルア」は、ポルトガル語で「月」を意味する。この少女が自ら「ルアの世界」と呼ぶ図書館は、クッションが置かれた居心地の良い空間で、あふれるほどの本が並んでいる。

 ルアさんは最近、右派のリオ市長でキリスト教福音派の元牧師、マルセロ・クリベラ(Marcelo Crivella)氏に対し、挑戦的な動画をインターネットに投稿した。その中でルアさんは、「私は12歳だけど、あなたがこれまでの任期にやったことよりも多くのことを自分の街にした」と語った。

 図書館を作るアイデアは半年前、ルアさんが本の見本市に行ったときに生まれた。「3レアル(約60円)の本を、お金がないから買ってあげられないと娘に言っているお母さんを見た」「何かしなくちゃと思った」と話す。

 ルアさんはこっそり祖母の携帯電話を使って、フェイスブック(Facebook)に本の寄付を募るメッセージを投稿した。さらに祖母のふりを続けて、地元自治会の副会長バニア・リベイロ(Vania Ribeiro)氏にメッセージを送り、図書館を設置する場所の提供を求めた。

 リベイロさんはすぐにメッセージの主はルアさんだと気付いたが、その計画に賛成し、「あなたがやるなら、私もやる」と返信した。