【4月28日 AFP】欧州連合(EU)は27日、中国政府に対する批判を軽減するため、新型コロナウイルスをめぐる虚偽情報に関する報告書の表現を弱めるよう中国側から圧力を受け、EUがこれに屈したとする報道を否定した。

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 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、EUが中国政府関係者らからの圧力を受けて先週、虚偽情報の動向に関する定期報告書の公表を延期し、最終版の表現のトーンを弱めたと報じた。

 これについて、EU外務省に当たる欧州対外活動庁(EEAS)のピーター・スターノ(Peter Stano)報道官は、外部からの影響を受けて変更を行った事実はないと強調。

 スターノ報道官は、ベルギー首都ブリュッセルで行った定例記者会見で「報告書において、われわれが何らかの外圧に屈しているという示唆や主張については、いかなるものであれ私は断固否定し、異議を唱える」と述べた。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、この報告書の確定前の原稿には、中国は新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的な大流行)の発生に関する非難をそらし、自国の国際的なイメージアップを図るため、世界規模での虚偽情報キャンペーン」を展開していると書かれていたという。

 また英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、中国はこの報告書について、ニコラ・シャピュイ(Nicolas Chapuis)駐中EU大使を通すなどして3度にわたりEUに抗議したと伝えている。

 報告書の最終版には、パンデミックに対する非難をそらすための国営メディアを含む「中国の公式情報源による組織的な動き」については言及があるものの、「世界規模での虚偽情報キャンペーン」との文言は含まれていない。(c)AFP