【4月25日 CNS】「この特製みそダレを使うのが秘訣(ひけつ)です! 家に籠っているあなた! 袋を開けて鍋に入れるだけ…、家の台所で一流コックの味が食べられますよ!」。高級中国料理チェーン「羲和国際」の常聖彬(Chang Shengbin)副社長が行っているのは、料理のライブ販売だ。ショートムービーSNS「抖音(Douyin)」の画面に現れ、魅力的な語り口で料理の作り方を説明する。

 新型コロナウイルス対策で店舗での商売が落ち込む中、「ライブ配信で料理が少しでも売れれば、ブランドの存在感を示す意味では宣伝になって、良いことではあります。ただ、経営を立て直すまではいきませんが」。同社の張鈞(Zhang Jun)董事長は微妙な表情を見せる。

「羲和国際」グループは、中国全土で37店舗、従業員約2000人を有する料理店チェーンだ。傘下のブランドレストラン「羲和雅苑」は、新型ウイルスの流行が拡大した春節(旧正月、Lunar New Year)以降、生き残りをかけ、出前サービス大手「美団(Meituan)」と提携して出前事業に取り組んでいる。北京市内の店舗は一部、店舗内での食事を再開したが、売り上げは以前の3割程度しかない。

「羲和雅苑」は、これまでは高級レストランという触れ込みで、弁当の提供はあり得ない話だった。しかし、今では周辺企業と契約し、特製日替わり弁当の配達を始めた。価格は25元(約380円)、35元(約530円)、48元(約730円)の3種で、1か月に22回、毎日異なる料理を提供するとしている。「このご時世では、低姿勢で、頭を柔軟に使い、まず生き残ることが肝心」と責任者は必死だ。

■特産品販売、団地内ネット通販・配達も

 雲南料理に特化した大手飲食チェーン「雲海肴(Mystic South-Yunnan Ethnic Cuisine)」は、感染拡大後、実店舗を全て閉ざした。感染収束後には配達需要が増えると予測し、微信(ウィーチャット、WeChat)を利用した出前オンラインサービスに方向転換した。

「雲海肴」は業態を再構築し、特定団地向けのネット通販も始めている。店舗から3キロ圏内で団地内サービスステーションをつくり、同社のサプライチェーンと物流網を通して材料や半製品を顧客の玄関まで配達する。現在、全国の100を超える地域でサービスステーションを設置したとされる。

「雲海肴」のオンラインビジネスは数年前から始まっていたが、現在は力の入れ方が違うという。同社の責任者は「以前は9割以上の力を実店舗に投入していたが、感染発生後は大きく変わった。営業活動を行う場所は微信の『朋友圏(モーメンツ)』の中だ。今はオンラインビジネスが、われわれの収入を増やしている」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News