【4月22日 AFP】米疾病対策センター(CDC)は20日、全米で今年1~3月に寄せられた漂白剤や消毒剤による中毒に関する通報が、前年同期比で20%多かったと発表した。増加の原因は、新型コロナウイルス対策として漂白剤や殺菌剤の使用が推奨されていることと関連しているという。

 CDCの報告書によると今年1~3月期に寄せられた化学洗浄液の危険使用に関する通報は、前年同期の3万7822件から4万5550件に増えた。特に通報が急増したのは大半の州がロックダウン(都市封鎖)を開始した3月で、中でも5歳未満の子どもの被害が最大の割合を占めた。

 CDCはこの問題を説明するために二つの事例を挙げている。

 1件目の事例では食品の消毒が重要だというニュースを見た女性が、10%に希釈した漂白剤と酢、湯を混ぜて流しにはったところ悪臭が発生。せきやあえぎ、呼吸困難が生じたため救急通報した。女性は救急搬送され、酸素吸入と吸入剤による治療を受けて数時間後に回復した。

 2件目は未就学の女児が自宅で意識を失い、救急搬送された例で、台所のテーブルの上でアルコール系手指消毒剤2リットル入りの瓶が、栓が開いた状態で見つかった。家族によると少女は消毒剤を飲み、ふらついて倒れ、頭を打ったという。飲んだ量は不明だという。

 この少女の血中アルコール濃度は、米国の大半の州で運転する際に法的に認められている血中アルコール濃度0.08%の3倍以上に当たる2.73%だった。少女は小児科の集中治療室で一晩を過ごし、精神的にも安定した上で48時間後に退院した。

 CDCでは「これらの事例が報告されたタイミングは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)に関する報道が増え、洗浄剤や消毒剤の売り切れが伝えられ、また各州や自治体で自宅待機令が出された時期と一致している」と説明している。(c)AFP