【4月21日 AFP】新型コロナウイルス対策として世界中でロックダウン(都市封鎖)が実施され、石油需要が減少する中、20日の米原油先物市場では価格が暴落し、史上初めてマイナス圏での取引となった。原油先物価格は、21日の取引でプラス圏を回復したが、世界経済を停滞させているロックダウンの解除を求める声が強まりそうだ。

 新型ウイルスによるロックダウンによる需要減と、二大産出国のサウジアラビアとロシアによる価格競争が相まって、ニューヨーク原油先物市場の主要指標WTI原油先物の期近5月物は、1バレル当たりマイナス37.63ドルまで下落した。米国株式市場では売りが膨らみ、ダウ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average)は2.4%安となった。

 新型ウイルスによる世界的な危機は経済に壊滅的な打撃を与えており、多くの国では、いつ外出制限を解除し、打撃の緩和を図るのかが最重要課題となっている。欧州では一部の国で新型ウイルス感染者の死亡率が減少に転じていることを受けて、ドイツなどが暫定的なロックダウン緩和措置に乗り出している。

 一方、州ごとに外出制限が出されている米国では、緩和へ向けた州知事の動きが鈍いと批判する人々がここ数日にわたって、各州都で経済活動再開を求めて抗議デモを展開している。

 中でも大きな抗議が起きているペンシルベニア州の州都ハリスバーグ(Harrisburg)では20日、数百人が集まり、州政府の外出制限は個人の自由を制限し、経済に損害を与えるものだと主張した。多くの人はマスクを着用せずに参加していた。

 米衛生当局関係者らは、拙速な外出制限解除によって新型ウイルスの流行が再燃するリスクがあると警告しているが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はこうした外出制限に対する抗議デモを激励している。(c)AFP/Michael Mathes, with Catherine Triomphe in Harrisburg and AFP bureaus