【4月20日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって延期が決まった東京五輪について、政府の新型ウイルス対策を批判してきた日本の感染症の専門家が、2021年開催の可能性に「悲観的」だと話した。

特集:東京五輪、2021年に延期

 日本政府は選手と各種スポーツ団体からの圧力が強まっていた3月、東京五輪の1年程度の延期で国際オリンピック委員会(IOC)と合意し、その後に2021年7月の開幕が決まった。しかしその後も感染は世界各地で拡大し、1年延期では不十分という声も出始めている。

 神戸大学病院(Kobe University Hospital)感染症内科の岩田健太郎(Kentaro Iwata)教授も20日、報道陣向けの会見で「正直に言って、五輪を来年開催できる可能性は高くないと思う」と述べた。

「五輪をやるには二つの条件がある。国内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を抑え込めていること、そして世界中で抑え込めていること。開催するなら各国から選手と観客がやって来る」「日本だけなら、来年夏までには抑え込めるかもしれないし、そうであってほしいと思っているが、世界のどこでもそうなるとは思わない。だから来年夏の五輪開催には非常に悲観的だ」

 岩田教授は、「無観客あるいは大規模な参加制限」などの抜本的な変更を行わない限り、2021年夏の五輪開催は難しいと考えている。

 五輪延期という史上初の決定が下された後も、選手は移動制限やロックダウン(都市封鎖)に苦しんでいる。しかし五輪の延期には膨大な調整作業が必要で、パンデミックの終息時期が不透明な中でも、組織委員会は来年7月23日の開幕に向けて取り組んでいることを強調している。

 組織委員会の高谷正哲(Masanori Takaya)スポークスマンは、前週行われたオンライン会見で、再延期用の「プランBはない」と話している。(c)AFP