【4月18日 AFP】タイ北部チェンマイ(Chiang Mai)で、農業従事者の男性が餌を探していたゾウに踏まれ死亡した。警察当局が17日、明らかにした。同国では、観光客向けの動物飼育施設が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により資金難に陥り、ゾウに与える餌の確保に苦慮している。

 警察によると、男性は15日、自身が栽培する野菜に水をやっていたところ、浅い川の中で餌を探していたゾウに襲われた。「エレファント・キャンプ」と呼ばれるゾウ飼育施設に所属するゾウは、新型ウイルスの影響で観光客がいなくなったため、川の近くで飼われていたという。

 タイで観光業向けに飼育されているゾウは約2000頭に上る。人気観光地のチェンマイには多数の動物公園があるが、新型ウイルスの感染拡大以降、観光客の数が激減。タイ政府は、新型ウイルス対策として、エレファント・キャンプ数十か所の閉鎖を命じた。

 動物愛護団体は、エレファント・キャンプではゾウが虐待されたり搾取されたりしていると非難。また、世界的な観光業の低迷により施設が資金難に陥り、ゾウが飢えたり、ミャンマーとの国境付近で違法森林伐採を行う業者に売られたりする恐れがあると警鐘を鳴らしている。(c)AFP