■加盟国分担金

 一方、WHO全加盟国に課せられているのが、分担金だ。こちらは各国の富裕度や人口によって相対的に算出され、毎年1月1日に拠出するものとされている。

 最新の予算サイクルでは、分担金が9億5700万ドル(約1030億円)を占め、WHOにとって任意拠出金に次ぐ資金源となっている。

 分担金では、米国が全体の25%近くを占める2億3700万ドル(約255億円)を拠出。一方、中国は7600万ドル(約82億円)を拠出しており、全体に占める割合は全体の8%だ。

 だが、欧州連合安全保障研究所(European Union Institute for Security Studies)のアジア部門上級アナリスト、アリス・エクマン(Alice Ekman)氏は、「中国は自らを、より平等な新しい世界秩序の擁護者として位置付け、特にアフリカ諸国に熱心に働き掛けている」「WHOはその他さまざまな多国間機構の一つにすぎず、国連(UN)機構内における中国の影響力は極めて大きい。それは財政貢献だけの話ではない」と述べている。

 国際結核肺疾患連合(International Union Against Tuberculosis and Lung Disease)会長を務めるガイ・マークス(Guy Marks)教授は、トランプ米大統領に拠出停止という「向こうみずな決断」を覆すよう求めている。もしも米国がWHOへの拠出を停止すれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をはるかに超えて、「WHOが実施する世界のその他の疾病管理にとっても壊滅的」な結果を招くだろうと警告している。(c)AFP/Robin MILLARD