【4月26日 AFP】フランスの空手女王で31歳のアレクサンドラ・レキア(Alexandra Recchia)は、石を詰め込んだ植木鉢でランプスタンドのバランスを取り、その不安定なオブジェの頭と胸の高さにクッションを置いて粘着テープできつく縛り付けると、その間に合わせのサンドバッグに拳と足を突き出した。

 新型コロナウイルスの影響でロックダウン(都市封鎖)に直面しているすべてのフランス人アスリートと同様に、レキアは筋肉だけでなく頭を使い、パリの自宅で手近な材料を生かしながら最大限の努力をしている。

 フランス代表として次の五輪を目指している中で、これは最高の練習方法とはいえないまでも思ったよりましなもので、少なくとも小さな庭も活用することができている。

 現在は「8~9の練習セッションを週6日」行っており、そのうち三つはランプスタンド兼サンドバッグを使ったトレーニングとなっている。3週間近くも拳をたたきつけている中で、このオブジェはかなりよく持ちこたえているようだ。

 自転車ロードレーサーのヨアン・オフルド(Yoann Offredo、フランス)は、パリ南部にある自宅の地下室に自転車を固定し、シーズンが再開されるのを期待しながら練習に励んでいる。

 得意としている春のクラシックレースシーズンはすでに中止となり、自転車ロードレースの最高峰であるツール・ド・フランス(2020 Tour de France)の開催も危ぶまれている中、33歳のオフルドにとってはこれが現役最後のシーズンになるとみられている。

 それでもまだ自身の限界に挑戦しているオフルドは、脚が疲労したり士気が下がったりしたときは、間に合わせのジムの壁に掛けられた憧れの選手ファウスト・コッピ(Fausto Coppi、イタリア)氏の写真から勇気をもらっているという。

 男子柔道のキリアン・ルブルーシュ(Kilian Le Blouch、フランス)は、東京五輪の出場権を獲得する寸前で国際大会が中止となった。これで文字通り、同選手はパートナーである女子柔道のサラ・アラチ(Sarah Harachi)とともに白紙状態にもどった。

 パリにある自宅アパートの2部屋で行うその日のトレーニング内容は、キッチンのホワイトボードに分刻みで書かれており、「これでリズムや厳しいレベルを維持できるので、現状を見失うことがない」と語った。

 また充実した設備が整っている練習施設を取り上げられている間でも、自宅のリビングに備え付けたトレーニング器具や、ルブルーシュが「封鎖の星」と称している玄関に取り付けられた棒が、調子を維持するのに役立っているという。

 自宅での目標はハードルが高いものではなく、調子や体調の維持に加え、ロックダウンの状況を利用して普段はやっている時間がない弱点の克服に励んでいる。そして、この封鎖措置が間もなく終わることを願っている。(c)AFP