【4月9日 AFP】中国の医療チームは8日、ナイジェリアの医師会の反発にもかかわらず、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)対策支援のため現地入りした。

 15人から成る医療チームは、医療物資を積んだ飛行機で首都アブジャの空港に到着し、滑走路で政府高官らによる歓迎を受けた。1か月の滞在を予定している。

 新型ウイルスが最初に流行した中国は、世界各地に医療チームを派遣したり、医療物資を送ったりするなど、ソフトパワーを活用してイメージアップを図っている。

 しかし、アフリカ最大の人口を抱えるナイジェリア最大の医師会「ナイジェリア医師会(Nigerian Medical Association)」は、中国からの支援受け入れに猛反発。5日、中国チームの受け入れは「ひどい条件下」で新型ウイルスと闘っている医療従事者を「辱めるもの」だと非難していた。

 ナイジェリア医師会は、「政府が中国の医療チームの受け入れを進めれば、長きにわたって最前線で働いてきた医療従事者の士気は大きく下がる」「中国チームの受け入れは、パンデミック対策で彼らがこれまでに払ってきた犠牲をおとしめるものだ」と主張した。

 一方、政府当局者らは、中国チームの仕事はパンデミックへの対応について、地元当局への助言を支援することだと強調した。

 ナイジェリアでは、これまでに感染者が254人、死者が6人確認されている。同国は医療制度が脆弱(ぜいじゃく)で、人口密度も高いため、新型ウイルスが非常に流行しやすいとみられている。

 ナイジェリアには、中国一の大富豪、馬雲(ジャック・マー、Jack Ma)氏からマスクやガウン、検査キットなどの医療物資も届いているが、これに対しても一部から懐疑的な声が上がっている。中国から届いた医療用品は新型ウイルスに汚染されているというデマが拡散し、ナイジェリア疾病管理予防センター(NCDC)は先週、火消しに追われた。(c)AFP