【4月11日 CNS】家族が集まって先祖の墓参りをする「清明節」は、中国で何千年もの歴史がある伝統的行事。今年の清明節は4月5日だが、新型コロナウイルスの感染予防のため、各地で新しい墓参りのスタイルが広まっている。時期をずらしてインターネットで事前予約する「オフピーク墓参り」や代行を依頼する「代理人墓参り」、ネット上で先祖を祭る「バーチャル墓参り」などだ。

 四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)の蘇子豪(Su Zihao)さんは、おいを連れて先祖が眠る磨盤山(Mopan Mountain)墓地を訪れた。「毎年、私は清明節の前に亡くなった家族と話をするため来ている。今年は初めてネットで予約をした」。同じ日に墓参りをする人が殺到して感染するリスクを避け、互いにピーク時をずらす取り組みだ。

 同じ磨盤山墓地では、ネットを通じて依頼を受けた3人の「墓参り代理人」が墓石を磨き、花を置いて、先祖を祭る文章を読み上げた。今年は10回以上請け負ったという傅文莉(Fu Wenli)さんは「代理サービスは数年前から多くの墓地が始めているが、今年は感染症の影響で依頼が増えた」と話した。

 自宅にいながらネット空間で行う「バーチャル墓参り」は、北京や四川省、広東省(Guangdong)、甘粛省(Gansu)など各地の行政の民政部門が始めている。市民はネット上の墓参りサイトで申請すると、亡くなった家族の「記念館」をつくることができ、「祭る」「献花」「メッセージを残す」などの儀式をすべてネット上で執り行える。

 中国では墓参りの際、ろうそくに火をともし、墓の前で「紙銭」と呼ばれる冥土の紙幣を焼いて祖先にささげるのが一般的。しかし、バーチャル墓参りの普及とともに、伝統的なお供え物を販売する店は減少している。墓地近くで20年以上、店を営む黄東(Huang Dong)さんは「最も多い時期は周辺に30店舗ぐらいあったが、この数年で閉店が相次ぎ、今は10店舗もない」と話していた。(c)CNS/JCM/AFPBB News