【4月10日 東方新報】英国のシンクタンクZ/Yenと深セン市(Shenzhen)の中国総合開発研究所が3月26日に発表した「世界金融センター指数(Global Financial Centres Index)」で、香港に大きな衝撃が起きた。ニューヨーク、ロンドンに次ぐ世界3位から一気に6位に転落。「世界三大金融センター」の座から滑り落ちたのだ。昨年から続くデモ活動の影響とみられ、香港特別行政区のスポークスマンは「香港の金融システムは依然として優勢だ」と強調している。

 世界金融センター指数は、金融センターの国際的競争力を示す指標として2007年3月にスタート。「ビジネス環境」「人的資源」「インフラ」「国際金融市場としての成熟度」「都市イメージ」の5項目を基準に、100以上の都市・地域を1000点満点で点数化し、毎年3月と9月に順位を公表している。

 最新の上位10都市は、ニューヨーク(769点)、ロンドン(742点)、東京(741点)、上海(740点)、シンガポール(738点)、香港(737点)、北京(734点)、サンフランシスコ(732点)、ジュネーブ(729点)、ロサンゼルス(723点)。点数で見ると、上位10都市すべてが前回よりポイントを落としている。これは新型コロナウイルスや世界的貿易摩擦、英国の欧州連合(EU)離脱など全世界共通のマイナス材料による影響だが、香港は34ポイントマイナスで、10都市の中でも最も下落した。

 香港特別行政区のスポークスマンは27日、「昨年からの社会的事件が香港にかつてない挑戦をもたらしている」と述べ、学生を中心とした相次ぐデモが影響を与えたという認識を示した。その上で、「簡素な税制に低税率、豊富なビジネス情報、資金の流動性など、金融センターとしての香港の競争力は依然として優勢だ」と強調した。

 中国総合開発研究所の金凌曲(Jin Lingqu)金融現代産業研究所副所長は「香港の客観的な各種指数は今も上海を上回っている。今回は、この半年間の騒動が香港の評価を下方修正させた結果だろう。金融センターとしての没落を意味しない。長期的な観察が必要だ」と指摘している。

 確かに今回の評価でも、香港は「ビジネス環境」と「人的資源」は3位に入り、他の3項目も4~6位にとどまっている。香港は今も多くの企業がアジアのヘッドクオーター(本店)機能を置き、新規株式公開(IPO)をして資金調達する拠点となっている。今後、世界三大金融センターとしての地位を取り戻すか。香港の「底力」が試されている。(c)東方新報/AFPBB News