【3月22日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が新型コロナウイルスの治療薬として「承認」されたと発言し、米食品医薬品局(FDA)がそれを打ち消した抗マラリア薬「クロロキン」による中毒例が、ナイジェリアの大都市ラゴス(Lagos)で見つかっている。

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 ラゴス市当局の20日の発表によると、複数の病院でクロロキンの中毒例が確認されているという。

 トランプ米大統領は19日、FDAが新型コロナウイルス治療薬としてクロロキンを承認したと述べたが、FDA長官は正式には承認していないとしてそれを打ち消した。

 クロロキンは現在、新型コロナウイルスの治療薬として中国とフランスで使用されており、一部の研究者は高い効果が見込めると述べているが、さらに試験を実施しなければ治療効果と安全性は確認できないという点で科学者らの意見は一致している。

 ラゴスの保健衛生当局者によると、トランプ氏の発言以前から、インターネット上では新型コロナウイルスの治療薬としてクロロキンの名前が取り沙汰されていたが、トランプ氏の発言以降、「クロロキンを買い求めようとする人々が薬局の前で、すさまじい列をつくっている」という。すでに中毒患者2人が入院しており、さらに中毒例が増える恐れがある。

 アフリカの大国ナイジェリアの人口は約2億人。これまでに確認されている新型コロナウイルスの感染者数は12人だが、検査は限られている。医療制度が整っていないこと、人口密度が高いことから、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)には極めて脆弱(ぜいじゃく)だと懸念されている。(c)AFP