■選手やその代表からは延期を求める声

 五輪の花形競技である陸上の米国連盟、また米仏の水泳連盟は、五輪の延期を求めている。USATFのマックス・シーゲル(Max Siegel)会長は、このまま五輪へ向けた準備を進めるのは「選手のためにならない」と話している。

 ノルウェーの五輪委員会も、東京五輪は新型ウイルスの世界的な大流行が収まってからにするべきだと話し、選手もIOCに再考を求めている。

 出場選手がまだ43パーセントしか確定しておらず、五輪前の大会が次々に中止になっている問題もある。また、ドーピング検査が止まっていることも状況をさらに複雑にしている。

■経済的な影響の大きさ

 五輪の収益の9割は、IOCを通じて各種関係団体に再分配される。2016年リオデジャネイロ五輪では57億ドル(約6325億円)の収益があった。それだけに、延期はスポーツ界全体の資金繰りに幅広く影響する恐れがある。

 五輪の金銭面に最も大きな影響力を持つメディアは米国のNBCで、すでに東京五輪に向けて9億7000万ドル(約1030億円)規模の広告を打っている同社は、延期になれば日程に口出しをしてくる可能性がある。

■巨額の負担

 五輪の開催に向けて、開催国は競技会場や交通機関、宿泊施設に巨額の投資を行わなければならない。例えば選手村は、1万1000人の選手を収容する能力が求められ、大会後はマンションとして販売される。

 五輪を専門とするスイスの大学教授は「問題は無数にあり、選手村もその一つだ」「しかし必要な予算を組み、法整備を行うかは安倍晋三(Shinzo Abe)首相次第だ」と話した。(c)AFP/Eric BERNAUDEAU