【3月12日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性反応が出て以来、ビクトル・アンデション(Viktor Andersson)さん(22)は両親の家に引きこもり、映画を見て時間をつぶしている。

 アンデションさんら北欧の感染者の大半にとって新型コロナウイルスは、退屈な隔離生活を意味するにすぎない。

 世界の新型コロナウイルスの感染者数は12万人以上、死者数は4500人以上に上っている。一方、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンで感染が確認されたのは1000人以上にとどまっている。これまでのところ死者はスウェーデンの1人だけだ。

 北欧の感染者の大半はアンデションさん同様ピンピンしていて、日常生活が戻るまで家で待機している程度だ。

 アンデションさんはAFPに「家を出てはいけないことになっている。散歩はしてもいいが、他人に近づいてはいけない」と語った。アンデションさんは2月下旬に友人らと、オランダ・アムステルダムを旅行した際に空港で感染したと考えられている。

「映画をたくさん見た。ジェームズ・ボンド(James Bond)のシリーズは制覇した。両親とトランプをやったりもした。とにかく何かやることを見つける必要がある」

 アイスランドで感染が確認された81人のうち、入院が必要だったケースはなかった。ノルウェーでは277人の感染が確認されているが、入院したのはほんのわずかだ。

 専門家によると、これには社会学的、人口統計学的な要因があるという。

 ノルウェー北部にあるトロムソ大学(Tromso University)の医療微生物学教授、オーステン・オルスビク(Oystein Olsvik)氏によると、北欧では「人々は一般的に健康で予防接種を受けている他、普遍主義的医療制度もある。また、喫煙者や産業公害も少ない」と説明した。

「スカンディナビアでは一般に、中国のような人口密集地域で拡大するような感染症は広がりにくい」 と付け加えた。