【解説】新型コロナウイルス、死亡リスクが高いのは誰か
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【3月3日 AFP】新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」が世界的な広がりをみせるなか、ウイルス感染での死亡リスクが高いケースについて関心が高まっている──。AFPの取材に複数の専門家らが応じた。現状においては、正確な致死率は判明していない。
これまでに報告されているデータでは、心臓の疾患や高血圧などがある高齢者での死亡リスクが著しく高くなることが示されている。対象となったデータには、中国の新型ウイルス感染者7万2000人以上を調べた調査結果も含まれている。
中国疾病対策予防センター(CCDC)の週報によると、臨床検査によって2月中旬の時点で感染が確認された4万4700人については、60歳以上が80%以上を占めていた。またその半数は70歳以上だったという。
中国以外の国でも同じような結果が報告されている。イタリアでの死者の大半は80代で、60歳未満は一人もいなかった。また、死亡した人の複数に心臓疾患があったのだ。
中国の研究では、男性の致死率が女性の2~3倍に上っていることも分かっている。だが、この傾向と中国での男性の喫煙率の高さ、さらにはホルモンなどの生物学的な要因が関係しているかは今のところ不明だ。
■子どもの感染者
さらに中国の研究で目立つのは、子どもの感染者がほぼいないことだ。
10~19歳の感染者は1%にとどまっており、死者はいない。10歳未満では感染者は1%に届かず、十代と同様に死亡例の報告はない。
米国立衛生研究所(US National Institute of Health)フォガーティ国際センター(Fogarty International Center)の疫学専門家セシル・ビブー(Cecile Viboud)氏はAFPの取材に対し、「20歳未満の感染者が少ない理由について調査を進めている」と述べた。
また、カナダ・トロント大学(University of Toronto)の疫学専門家デビッド・フィスマン(David Fisman)氏も、子どもの感染者数が少ないことを不可解に感じているという。
電子メールで取材に応じた同氏は、「子どもの感染者はどこに行ったのか」「これは重要な部分だ…。子どもは軽症なため検査されていない可能性がある」と指摘する。
2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)でも若者の感染率は低かった。中国広東(Guangdong)省で発生したSARSもコロナウイルス感染症で感染者は8096人、死者は774人に上った。