【3月10日 AFP】「祈りに力を与え、メシア(救世主)到来に備えるため、コロナビールを飲みなさい」──新型コロナウイルスの流行を受け、イスラエルのラビ(ユダヤ教の宗教指導者)たちがさまざまな珍助言をしている。

【あわせて読みたい】コロナビール「今は買わない」38%、ウイルス流行で 米調査

 パレスチナのイマーム(イスラム教の宗教指導者)やキリスト教の指導者と同様、ユダヤ教のラビたちもイスラエル保健省が示す新型コロナウイルス対策の指針に従うよう信者たちの説得に努めている。だが中には、科学的根拠のない助言を発したり、新型コロナウイルスの起源について事実無根のゼノフォビア(外国人嫌悪)的言説を広めたりするラビもいる。

 ユダヤ超正統派のラビの一人、シムチャ・ハレビ・アシュラグ(Simcha Halevi Ashlag)師は、ソーシャルメディアに投稿した動画の中で「祈り、アルコール飲料を飲むとき、祈る者たちはより強くなる」と述べ、メキシコ産のコロナビールを飲むよう信者たちに促した。

 自ら検疫下にある正統派のテレビ伝道師、ザミル・コーエン(Zamir Cohen)師は「このウイルスは、非ユダヤ教徒は何でも食するという事実の結果だ」と発言。新型コロナウイルスは中国で食用に売買されていた動物を起源としているとの考えが念頭にあるようだ。

 超正統派のロン・チャヤ(Ron Chaya)師は、「メシア到来の前兆のすべてはここにあり、無関心であり続けることは悲劇を招くだろう」と述べ、信者たちにメシア到来に備えるように呼び掛けた。この様子を収めた動画はソーシャルメディアに投稿され、再生回数は5万回を超えた。

 正統派の著名なラビ、シュロモ・アビネリ(Shlomo Aviner)師は信者に対し、病気になったと思う人が取るべき最善の行動は「医者にかかること」だと語った。

 大規模集会を制限するようにという保健省の勧告を広めるために、ラジオを通じた礼拝参加を例外的に許可したラビもいる。

 同国のラビの最高位であるチーフラビのデビッド・ラウ(David Lau)師は今週、ユダヤ教徒に向けて「保健省の指示に従うことは宗教上の義務だ」と明言した。(c)AFP/Michael Blum with Hossam Ezzedine in Ramallah