【3月2日 AFP】フランス版アカデミー賞(Academy Awards)と呼ばれる映画賞「セザール賞(Cesar Awards)」の授賞式が週末、首都パリで行われた。最優秀監督賞に『私は弾劾する(原題、An Officer and a Spy)』のロマン・ポランスキー(Roman Polanski)監督(86)が選ばれると、退席者が続出し、反発が広がった。

 ポランスキー氏は、1977年の13歳の少女に対する法定強姦(ごうかん)により米国で訴追されており、先月にはポランスキー監督が同賞にノミネートされたことを受けて、主催する仏映画芸術技術アカデミーの理事全員が辞職に追い込まれていた。

 授賞式の開催中も、抗議者らが「ポランスキーを拘束しろ!」と叫びながら会場内への突入を試み、警察が催涙ガスを使用して制止する騒ぎが起きていた。

 これに先立ちフランク・リーステール(Franck Riester)文化相は、ポランスキー氏に賞を授与すれば、「性暴力や性差別的暴力に対してわれわれが取らなければならない立場を考慮すると、象徴的に悪い意味を持つ」と警告していた。

 それでもポランスキー氏は今回、脚本賞と最優秀監督賞をダブル受賞。監督賞の受賞が発表された際には、最優秀女優賞候補の一人で、フランスのセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」で中心的な役割を果たしたアデル・エネル(Adele Haenel)さんが「恥だ!」と叫んで会場を後にした。

 ポランスキー氏の作品は、衣装デザイン賞も獲得した。

 ポランスキー氏と同作品の制作チームは全員、「公共の場での私刑(リンチ)」を危惧するとして、授賞式をボイコットした。(c)AFP/Fiachra GIBBONS