【3月1日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は2月29日、大勢の移民や難民がトルコ経由で欧州に越境することを容認する姿勢をにじませ、欧州連合(EU)に圧力をかけた。また、シリア反体制派を支援しているトルコ軍兵士34人が先日空爆で死亡したことについて、シリアのアサド政権は「代償を払うことになるだろう」と警告した。

 国際移住機関(IOM)は同日、ギリシャと接しているトルコの国境地帯に約1万3000人の移民が集まっていると報告した。これに先立ち数千人規模の移民が、国境を挟んで催涙ガスを発射したギリシャ治安部隊に投石する衝突があった。

 一方、空爆によりトルコ兵が死亡したことで、シリアでの戦闘拡大と、欧州での新たな難民危機の発生に警戒感が高まった。そのためシリア内戦の対立勢力をそれぞれ支援しているロシアとトルコは協議し、緊張緩和を図った。

 ただし、トルコのエルドアン大統領は、移民や難民がトルコを通過して欧州へ向かうことを認める可能性を示唆。主要都市イスタンブール(Istanbul)での会見で、「きのうわれわれが取った措置は扉の開放だ」と述べた。その上で、2016年にトルコとEUが結んだ協定に言及しつつ「扉は閉鎖しない。EUが約束を守るべきだからだ」と明言した。この協定ではトルコが難民越境を抑制する見返りに、EUが数十億ユーロ規模の支援を実施することになっている。トルコはすでに360万人のシリア難民を受け入れている。

 シリア北西部イドリブ(Idlib)県で2月27日にトルコ軍兵士34人が死亡して以降、エルドアン氏が発言したのは初めて。イドリブはシリア反体制派の最後の拠点で、ロシアが後ろ盾になっているアサド政権軍が奪還に向けて攻勢をかけている。(c)AFP/Kadir Demir in Pazarkule with Fulya Ozerkan in Istanbul